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「遠すぎた橋」(1977)

遠すぎた橋、多すぎる登場人物

BEST HITS SELECTION::遠すぎた橋 第二次世界大戦中におこなわれたマーケットガーデン作戦の失敗を題材にした戦争超大作。

ダーク・ボガード、ジェームズ・カーン、マイケル・ケイン、ショーン・コネリー、ジーン・ハックマン、アンソニー・ホプキンス、ローレンス・オリビエ、ライアン・オニール、ロバート・レッドフォード…。主役クラスが勢揃いした、とにかくものすごいオールスターキャストです。

このなかで主役は誰なのかというと…決して誰も答えられないでしょう。「遠すぎた橋」に主役は存在しないのです。しいていえば、マーケットガーデン作戦そのものが主役とでもいうのでしょうか。

人間が主役ではないので、登場人物はブツギリの連続。そのため散漫な印象はぬぐいきれません。公開時はあたかもロバート・レッドフォード主演のような売り方をしていましたが、彼が出てくるのは2時間が経過してから。しかもボートをこぐだけというカメオ出演となんら変わらない出番の少なさ。さらに、ジェームス・カーンやローレンス・オリビエの出番のなさにも愕然とします。

ただし、戦闘シーンはそれなりの迫力。とくにパラシュート舞台の降下シーンは物量作戦が大成功。現代ならCGで済ましてしまうこと請け合いですが、このシーンをさまざまなアングルから記録している撮影がお見事。いまになってみると、というよりも、いまだからこそこの映像は見ておく価値があると思います。

この作品が地上波放送されたときは、音声多重放送スタートの記念番組としてオンエアされました。いまでいう地デジに相当するテレビの革命だったのでしょう。とはいえ、多重放送を受信できるテレビを持っていないとその恩恵は受けられないため、ステレオ放送を楽しむことはできず、通常となんら変わらぬモノラルの吹き替えで観たのをおぼえています。

ステレオといえば劇場公開時、飛行機が背後から飛んでくるシーンで本当に爆音が背後から聞こえてきたためビビッた記憶があります。今回あらためてDVDで観なおしたのですが、そのイメージはDVDでもしっかり残されておりました。

テーマ曲も映画音楽のなかの名曲のひとつ。失敗作を描いて大成功とはならなかったけれど、登場人物のブツギリ同様、ところどころに見どころの隠れた作品ではありました。

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マイ・アカデミー賞

Photo アカデミー賞が発表されたので、私的アカデミー賞を決めてみました。2007年度に劇場で鑑賞した新作が対象です。

作品賞 「ONCE ダブリンの街角で」(次点「ドリームガールズ」)

主演男優賞 サシャ・バロン・コーエン「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」(次点ピーター・オトゥール「ヴィーナス」)

主演女優賞 ケイト・ブランシェット「あるスキャンダルの覚え書き」(次点キルスティン・ダンスト「マリー・アントワネット」)

助演男優賞 ジャッキー・アール・ヘイリー「リトル・チルドレン」

助演女優賞 ジェニファー・ハドソン「ドリーム・ガールズ」(次点ジュディ・デンチ「あるスキャンダルの覚え書き」)

監督賞 エイドリアン・シェリー「ウエイトレス~おいしい人生のつくりかた」(次点アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ「バベル」)

脚本賞 「ホリデイ」(次点「バベル」)

撮影賞 「マリー・アントワネット」(次点「パンズ・ラビリンス」)

音楽賞 「ONCE ダブリンの街角で」(次点「ドリームガールズ」)

 

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アカデミー賞予想、どれだけ当たった!?

第80回アカデミー賞が発表されました。そこで、予想がどれだけ当たったか、確認しておきましょう。(先が予想で、後が受賞作、受賞者です)

No_country 作品賞 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」→「ノーカントリー」 ×

主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 ○

主演女優賞 ケイト・ブランシェット「エリザベス:ゴールデン・エイジ」→マリオン・コティヤール「エディット・ピアフ~愛の讃歌」 ×

助演男優賞 トム・ウイルキンソン「フィクサー」→ハビエル・バルデム「ノーカントリー」 ×

助演女優賞 ケイト・ブランシェット「アイム・ノット・ゼア」→ティルダ・スウィントン「フィクサー」 ×

監督賞 コーエン兄弟「ノーカントリー」 ○

外国語映画賞 「ボーフォート レバノンからの撤退」→「ヒトラーの贋札」 ×

長編アニメ賞 「レミーのおいしいレストラン」 ○

脚本賞 「JUNO/ジュノ」 ○

脚色賞 「つぐない」→「ノーカントリー」 ×

美術賞 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」 ○

撮影賞 「つぐない」→「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」 ×

衣装デザイン賞 「エリザベス:ゴールデン・エイジ」 ○

編集賞 「ボーン・アルティメイタム」 ○

メイクアップ賞 「エディット・ピアフ~愛の讃歌」 ○

作曲賞 「つぐない」 ○

オリジナル歌曲賞 「ONCE ダブリンの街角で」 ○

音響賞 「トランスフォーマー」→「ボーン・アルティメイタム」 ×

視覚効果賞 「トランスフォーマー」→「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 ×

以上、10勝9敗、勝ち越しました!!

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ラジー賞決定

I_know_who_killed_me ”お騒がせ女優”リンジー・ローハン主演の「I KNOW WHO KILLED ME」(誰が私を殺したか知ってるわよ)が、サイテー映画を決めるゴールデンラズベリー賞の主演女優を含め、堂々の8部門を受賞したとか。

こりゃあもう、がぜん見逃せなくなりましたね。アルファベット表記ということは、日本公開が決まっていないのでしょうか? 前代未聞の快挙だけに、ぜひとも公開してほしいし、ラジー賞主要8部門受賞を宣伝文句にしてもらいたい。ハードルの低さが逆に売り物になるのではないでしょうか。

「な~んだ、いわれてるよりおもしろいじゃん」といわれればもうけものだし、つまんなきゃつまんないで額面どおりってなるでしょ。

もういい加減、根拠のない「アカデミー賞最有力!」なんて宣伝はやめてほしい。どうせなら、「ラジー賞最多部門獲得」をネタにするくらいのおおらかさがほしいですね。いまの時代、受け入れられると思うんですけど、どうでしょうか。

それにしても、はやく観たいなあ。お蔵入りしたとしてもDVDで売り出せばいい。私としては、ぜひ買ってでも観たいですね。

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「ミスト」

現代社会の不安と視界ゼロの恐怖

The_mist 本来、試写会で観たものは公開日までアップしないのですが、今回は例外。あまりにもおもしろかったので、5月とされる公開日まで待てません!

スティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督による「ミスト」です。

アメリカの田舎町を襲った豪雨から一夜、スーパーマーケットは買出しをする人たちで混雑していました。主人公の画家デヴィッドも息子のビリーを連れてスーパーへ。するとそこへ、血を流した男が駆け込んできます。「霧の中になにかいる!」。猛烈な集中豪雨は、悪夢への序曲にすぎなかったのです。

その後、霧がスーパーに接近し、恐怖心を煽りまくるサイレンが響き渡ります。霧が猛烈なスピードで周囲を包み込み、人々を飲み込んでいく。恐怖におびえる取り残された人々…。正体不明の霧に包まれているのは、この建物だけなのか、街全体なのか、あるいは、全世界が包み込まれてしまったのか?

霧のなかにいたのは、想像を絶するモンスターでした。ジョン・カーペンターの「ザ・フォッグ」はゴーストでしたが、こちらはモンスター。怪物が出てきた時点から、この作品はモンスターパニックムービーとして突っ走ります。な~んだ怪獣かよ、安易な仕掛けだな、と思う方もいるかもしれませんが、これは最近のモンスターものとは一味も二味も違います。

携帯も電話も通じず孤立してしまったスーパーで、人間と霧の中のモンスターの闘いがスタート。しかも1種類ではなく、触手をもったもの、巨大な昆虫、鳥のようなバケモノなどなどが次々と襲い掛かってきます。さらに、人間同士の争いも勃発。同じ町で暮らす知り合い同士が疑心暗鬼に陥り、やがては殺し合いに発展していくのです。そしてデヴィッドたちは、スーパーからの脱出を決意。視界ゼロの霧のなかに飛び込んでいきます。

「宇宙戦争」「アウトブレイク」「ポセイドンアドベンチャー」の要素を足したような作品ですね。「宇宙戦争」はイマイチだったけれど、得体の知れない物体にひたすら襲われる恐怖はこのテイストです。伝染病やテロによるパニックをモンスターに置き換えたのが「アウトブレイク」的なら、孤立した場所で展開される人間模様が「ポセイドンアドベンチャー」の趣きといえるでしょう。

いまどきの映画なら撮影中心で人間模様が軽くなってしまいがち。しかし「ミスト」のよさは、最近失われていた人間描写にあると感じました。ビッグネームはそれほど出演していませんが、それぞれが極限状態における不安と恐怖を的確に演じています。

振り返ってみると、それほど大掛かりな作品ではありません。それでも、役者たちの演技がパニックシーンをより生々しいものに昇華させているように感じました。たとえモンスターに襲われなくても、災害、テロ、あるいは個人的行き詰まりなどで、こういった”先行き不透明な状況”におかれる可能性は誰にでもある。視界ゼロの濃霧がこの作品をより現実味あるものにしているのです。

もしもあと少しでも視界があれば、ラストは変わっていたかもしれない。そう感じさせるラストシーンが壮絶かつ秀逸。こういうことって、人生であるよなあ…と考えつつ、スクリーンでは取り返しのつかないことに…。「ネタバレ必至」と謳っていますが、公開前だけにこれ以上は触れないことにしておきましょう。とにかく予想をはるかに上回るおもしろさ。「ミスト」、DON’T MISS IT!

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「バリー・リンドン」(1975)

絵画の終わりに地獄絵図

Barry_lyndon 3時間5分、とにかく長い! 長いけれど、どのシーンを切り抜いてもすべてが絵画のように美しい。あの長丁場でこれほどまでに美しいシーンが続くなんて、快挙です。そのうえ、音楽もはまっています。

美術鑑賞、音楽鑑賞、そして映画鑑賞。すべてが3時間5分のなかに集約されているのです。

しかしながら、ラスト30分は美しさのなかの地獄絵図。ライアン・オニール演じるバリー・リンドンが、これでもかというくらいの悲劇に襲われます。

それはさておき、やっぱり本作品の見どころは映像にあるのではないでしょうか。屋外の撮影では、陽のあたり具合はもちろん、そよ風に揺れる枝までが計算されているよう。夜の室内では、ロウソクを照明に使用していた当時の様子を見事に再現。これもまた、ほかでは見られなかった美しさです。

スタンリー・キューブリックのこだわりが細部にまで表現されていた「バリー・リンドン」。美しさという点では、どんな映画よりも勝っていると思いますね。絵画の代わりに映像を流すのもけっこうおしゃれかも。ただし、ラスト30分はBGVには適しませんが。

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「サンダーボルト」(1974)

イーストウッドはもちろん、ジェフ・ブリッジスが若い!

Thunderbolt_and_lightfoot クリント・イーストウッド主演「ダーティーハリー2」で脚本を担当したマイケル・チミノが、はじめてメガホンをとった作品です。

サンダーボルトとは、イーストウッドの愛称。それだけにイーストウッド映画の印象が強いようですが、実は相棒を演じるジェフ・ブリッジスのほうが目立っていたりするんです。実際、ブリッジスはこの作品でアカデミー助演男優賞にノミネート。女装までして頑張ってましたね。

原題は「サンダーボルトとライトフット」。ライトフットがブリッジスの愛称なので、「明日に向かって撃て」のポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードのように、2人が主役の作品なのです。

それにしても、ブリッジスが若い! イーストウッドはもちろんなのですが、いまになって観ると、スリムなブリッジスの若さが際立ちます。

内容は、西部劇のテイストを内包した犯罪アクション。西部劇っぽさはマカロニウエスタンで、アクションはダーティーハリーなどを意識しているのか。いずれもイーストウッドの分野だけに、一度で二度おいしい作りになっているようです。

さらに犯罪アクションといっても、適度なギャグやお色気もちりばめられています。突然出てくるクレイジーな運転手や、メッチャいい女の”メロディ”キャサリン・バックに釘付け。彼女、ちょっとだけの出演なのに、なぜかクレジットでは4番目に位置しているのです。

なかにはこの「サンダーボルト」をチミノの最高傑作としてる人もいるようで。たとえそのとおりだとしても、私の「ディアハンター」最高説が揺るぐことはありませんが。

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アカデミー賞予想

Atonement アカデミー賞の発表が近づいてきました(2月24日現地時間)。そこで、自分なりに受賞作の予想をしてみることに。今回は日本でいうミニシアター系の作品が主流。それだけに、予想しづらい部分もありますが…。

作品賞 「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」

主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」 (ジョージ・クルーニーとの一騎打ち?に勝利)

主演女優賞 ケイト・ブランシェット「エリザベス:ゴールデン・エイジ」 (「エディット・ピアフ」のマリオン・コティヤールにもあげたい! ブランシェットが助演女優賞を獲得すれば、主演女優は彼女かも)

助演男優賞 トム・ウイルキンソン「フィクサー」

助演女優賞 ケイト・ブランシェット「アイム・ノット・ゼア」

監督賞 コーエン兄弟「ノーカントリー」

外国語映画賞「ボーフォート レバノンからの撤退」

長編アニメ賞 「レミーのおいしいレストラン」

脚本賞 「JUNO/ジュノ」

脚色賞 「つぐない」

美術賞 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

撮影賞 「つぐない」

衣装デザイン賞 「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

編集賞 「ボーン・アルティメイタム」

メイクアップ賞 「エディット・ピアフ 愛の讃歌」

作曲賞 「つぐない」

オリジナル歌曲賞 「ONCE ダブリンの街角で」

音響賞 「トランスフォーマー」

視覚効果賞 「トランスフォーマー」

さて、どうなりますか?

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「ミスター・ロンリー」

ジャイケル・マクソンとモリリン・マンロー

Mister_lonely マイケルは、マイケル・ジャクソンを演じることでしか生きられない男。そのマイケルが、マリリン・モンローになりきりのマリリンと出会い、モノマネ芸人たちが集まる館で奇妙な共同生活を送ります。マイケルはマイケルというよりジャイケル・マクソン、マリリン・モンローはマリリンというより、モリリン・マンロー。似ている似てないよりも、本人たちのなりきりぶりが妙な雰囲気をかもし出しています。

スコットランドの田舎にある館にはマリリンのほか、チャップリン、マドンナ、ジェームス・ディーン、サミー・デービスJr、リンカーン大統領、エリザベス女王、ローマ法王、シャーリー・テンプルなどなどが暮らしていました。これまで孤独だったマイケルは同じ”趣味”を持つ仲間を見つけます。そこは彼らにとって、住みづらい実社会から隔離された楽園なのでしょう。マイケルは同じ志向を持つ彼らとの生活で、ロンリーから解放されていくのです。

”孤独な男”マイケルの自分探しに、なぜか修道女たちのエピソードが挿入されます。こちらは短編といった趣で、しかも”ミスター”・ロンリーのストーリーに最後まで”シスター”は絡んできません。監督は二重構造に意味があるようなコメントをしていますが、それって無理やりだろ! なにか奇抜なことをしたかった。そうとしか考えられませんね。

奇抜といえば、この作品の設定自体がかなり奇抜。それだけに、オマケは要らなかったのではないでしょうか

どうせならシスターのストーリーで別作品を撮ればいいのにって思いますね。けっこう興味深い題材だったし。まったく絡まない別物を挿入するくらいなら、本編の上映時間を短縮してほしいですよ。

文句をたれてしまいましたが、本筋はそれほど悪くはありませんでした。マイケルをはじめとするモノマネ人たちのなんだかおかしくて悲しいストーリー。ミスター・ロンリーの曲は冒頭だけだけれど、妙に心に響きます。

そういえば、マイケルを演じるディエゴ・ルナは「天国の口、終わりの楽園」にも出ていたメキシコ人。「アディオス」「オラ」「ビバ・ラ~」など、ときおりスペイン語が口を突いて出てくるんですよね。マイケル・ジャクソンになりきりながら、メキシコ人の自分が顔を出す。これって、マイケルになりきる男を演じる自分にブレーキをかけようとする、ディエゴ・ルナのアドリブだったのでしょうか?

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「大地震」(1974)

パニック3本柱の1本は、揺れる!

Earthquake 70年代のパニック映画ブームを代表する1本。「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」そしてこの「大地震」が、3本柱になるものと思われます。

豪華キャストによる群像劇も、このブームにおけるお約束で、「大地震」もしっかりとそこを踏襲しています。チャールトン・へストン、ジョージ・ケネディを筆頭に、エヴァ・ガードナー、ローン・グリーン、ジュヌビエーブ・ビジョルドなどが共演。そのうえウォルター・マッソーまでがカメオ出演しています(カメオの割には長時間!)

チャールトン・へストンとエヴァ・ガードナーが「タワーリング・インフェルノ」のポール・ニューマンとフェイ・ダナウェイで、ローン・グリーンがウィリアム・ホールデン。ジョージ・ケネディは無理やりですが、スティーブ・マックイーンの役どころを連想させます。

さらにところどころで、「タワーリング・インフェルノ」と似たようなシーンも飛び出します。たとえば序盤、エレベーターの中で溺死するダム職員は、ボヤの段階におけるエレベーターで焼死する人物の場面に相当するし、クライマックスのダム決壊は巨大貯水タンクの爆破のよう。高層ビルでの救出シーンもあり、似てしまうのはしかたのないことなのかもしれませんが。

偶然の一致か、それともどちらかがパクッたのか? 両作品ともアメリカではほぼ同時期に公開のため、そのあたりは謎ですね。

それでも最後は似て”全く”非なる終わり方。チャールトン・へストンとエヴァ・ガードナーがああなってしまうとは、予測できませんでした。そのぶん、「タワーリング・インフェルノ」より重苦しさが残るかも。

ちなみに、公開時は「センサラウンド方式」という音響効果も話題になりました。地震の揺れを体感できる効果付きで上映されたのです。

しかし、その恩恵を受けたのは主要都市のおもな劇場だけ。”地元”の映画館では、全くふつうの音響で、すっごく損したイメージを持ってしまいました。「ミッドウェイ」も同様。そのため、「センサラウンド方式」の効果を実感するには3年後に新宿プラザで観た「ジェットローラーコースター」まで待たなくてはならなかったのです。

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「あなたに降る夢」(1994)

あなたに起こるかも

DVD あなたに降る夢 【『ゴーストライダー』関連作品キャンペーン】ひとのいい警官がカフェで休憩中、持ち合わせがないことに気づき宝くじをチップ代わりとしてウエイトレスに手渡します。当たったら賞金を折半しようと約束すると、後日その宝くじがまさかの当選。警官は「約束は約束だから」と、妻の反対を押し切って正直に折半します。そこから巻き起こる騒動がコメディタッチで描かれていくのが「あなたに降る夢」。

もしも1億円当たったら。だれでも一度は想像したことがあるでしょう。宝くじが題材になっているこの映画を観たら、100%の人が自分に置き換えてみるのではないでしょうか。

登場人物を観る者に置き換えさせられれば、その映画は”当たった”も同然。男性は警官のニコラス・ケイジに、女性はウエイトレスのブリジット・フォンダに。もしかしたら、金に目のくらんだ警官の妻に自分を照らし合わせるかもしれません。

最後はベタのハッピーエンドながら、ほんわかな気分に浸れること間違いなし。原題は「IT COULD HAPPEN TO YOU」。直訳すれば、「あなたに起こるかも」。鑑賞直後、テレビの映像が「グリーンジャンボ宝くじ発売開始」のニュースでした。

これってなにかの暗示だったりして。いままでほとんど買ったことはないけれど、買わなければはじまらない。宝くじ、買ってみましょうか。

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「プルート・ナッシュ」(2002)

ラジー賞も獲れないなんて。

プルート・ナッシュ ラジー賞の主要5部門にノミネートされただけあって、恐ろしいほど退屈な作品。気がつけば目をつぶっている。そんな感じが延々とつづきます。

月面を舞台にしたSFコメディなんだけど、笑えるシーンがほとんどない。唯一笑えたのは、ヒラリー・クリントンが紙幣になっているところだけ。それもいまだからおかしいのであって、劇場公開時だったら、それほどおかしく見えなかったかも。

エディ・マーフィーも滑りっぱなしで、ほかにも大物が出演していますが、どうして?というくらいなトホホぶりです。

どうせなら、ラジー賞のひとつくらいは獲るくらいじゃないと。受賞すれば、かえってダメっぷりを楽しめちゃうものなんですよね。なにもないのがいちばんダメ。ということは、なにもとらなかった「プルート・ナッシュ」がその年でもっともダメだったのかもしれない。

”一人二役”で最低主演男優賞にノミネートされてしまったエディ・マーフィーが、なんだかかわいそう。その後、「ドリームガールズ」でアカデミー賞の助演男優賞にノミネート。ある意味でキッチリとリベンジを果たしています。

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「28週後…」で感染?

28weeks_later 1月25日にアップした「28週後…」の欄を見て、ビックリ。文字の色が途中から変わっているのです。しかも一気にチェンジするのではなく、いったん元の白に戻ってから真っ黒になるという…。まるで、ウイルスにでも感染してしまったかのような変貌ぶり。元の原稿を見てみても、べつに変わったところはなし。なんで?

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「エスケープ・フロム・LA」(1996)

続編よりもリメイク的

Escape_from_la ジョン・カーペンターの傑作「ニューヨーク1997」(原題「エスケープ・フロム・ニューヨーク)(1981)の続編が、15年のときを経て登場。題材だけの続編ではなく、カーペンター監督が再びメガホンをとり、カート・ラッセルが再度スネーク役にチャレンジしたのもファンにはうれしい限りです。

オープニングのテーマ曲(カーペンター作曲)からカーペンターの世界に突入。さらにストーリーまでもが…前作とほとんどいっしょじゃん!

ハッキリいって、舞台がニューヨークからロサンゼルスに変わっただけの話。あれから16年後の2013年、捕虜収容所と化したロサンゼルスにまたもやスネークがやってきます。今回も時間限定の脱出ゲームで、ときが経過した分、内容としてはスケールアップしているのですが…。

技術が進化したからといっておもしろさが増すかといえば、必ずしもそうではない。前作のハードボイルド調はほとんど姿を消し、よりB級化というか、コミック的要素が多くなっています。実際、特撮の多くはアニメーションだし。

こちらはあえてエンターテインメントに徹したような感じ。それはそれで仕方ないのかなと思います。正統な続編ではありますが、ほかの監督、出演者ならリメイクとなるかもしれませんね。

そういえば、リメイク版「ハロウィン」の日本公開はいつ? ホラームービーの「ハロウィン」じたいが映像技術を重視していないだけに、ふつうに考えればリメイクって難しい。批判を承知で、まったく同じにするか、それともよほど心理描写に特筆するものがないと、失敗の烙印を押されてしまう可能性が大。こちらはカーペンターが監督ではないだけにもともと期待はしていないのですが、お蔵入りにはもったいないような気も…。レイトショーでもいいから、劇場公開してほしいものです。

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「ブリット」(1968)

坂道で酔う…

ブリット スペシャル・エディション / 洋画 ”弾丸(bullet)”のことかと思ってたら、「ブリット」ってスティーブ・マックイーンの役名(Bullitt)だったんですね。似た発音で、弾丸も意味するダブルミーニングかもしれませんけど、ず~っと”弾丸”だって信じてました。

この作品の見せ場は、なんといってもサンフランシスコを舞台にしたカーチェイス。ちょっとした市内観光気分を味わえるかと思いきや、車内からの撮影で乗り物酔いしそうになってしまいます。サンフランシスコといえば、坂道の多い街としても有名。その坂道をうまく利用したおかげで、後世のカーチェイスに多大な影響を及ぼしたようです。現在のようにCGもなく、アクションシーンはすべてホンモノ。そのぶん、いまとくらべて派手さには欠けますが、かえって現実味のある場面を作り出すことに成功しています。

とはいえ、カーチェイスとクライマックスにおける空港での”人間チェイス”以外は、わかりづらいこともあって退屈してしまったのも事実。3番目にクレジットされているにもかかわらず、ジャクリーン・ビセットなんてほとんど顔を出しませんから。男ばっかりのストーリーで、色をつけるための役割でしかないのでしょう。「ブリット」とは、マックイーンファンの男のための映画でした。

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「ゲッタウェイ」(1972)

ゴミまみれでも絵になる男と女

ゲッタウェイ 主演スティーブ・マックイーン&アリ・マッグロー、監督サム・ペキンパー、脚本ウォルター・ヒル、音楽クインシー・ジョーンズ…って、やたらと豪華じゃありませんか!

それでもやっぱり、スティーブ・マックイーンとアリ・マッグローのための映画といっても過言ではないでしょう。実際、この共演がきっかけで結婚したそうだし。

クライマックスの銃撃シーンでペキンパーらしさを発揮しますが、終わってみればマックイーン&マッグローの印象はそのまま。ゴミに埋もれた男女でアレだけ絵になるのはこの2人だけ?

ちょっぴり長めで途中は少々退屈ながら、技術的にはあらゆるところで見応えのある作品でもありました。アクションシーンはシートの前よりも、やっぱり現場で撮ってもらいたいもの。「ゲッタウェイ」では”ふつうのシーン”でもけっこう工夫してる。そんな印象が残っています。

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「花咲ける騎士道」(2003)

気軽に観れるフランスのチャンバラ活劇

Movie/花咲ける騎士道 18世紀のフランスが舞台とあって、シリアスな史劇かと思いきや、その実態はお気楽なチャンバラ活劇でありました。

もとはといえば50年位前の同名作品をリメイクしたものとか。なぜこの時期にリメイクしたかは謎ですが、半世紀に一度のペースでなら許せるかなと。CGなしのアクションはかえって新鮮。そういった技術なしでリメイクすることじたい意味があるのかといってしまえばそれまでですが…。

いずれにしても、リラックスして観るぶんには十分楽しめます。それ以上でも以下でもないけれど。

ペネロペ・クルスって、フランス語もこなしちゃうんですね。母国語であるスペイン語はもちろん、英語、フランス語と、そしてあの美貌。彼女のファンには”谷間”をおがめるだけでも満足できたりして。

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「A.I.」(2001)

けっこうツボ

SFムービー 1500円::A.I. 地球温暖化により沿岸部の大都市が水没しているという未来からスタートするこの作品。1969年発表の原作を2001年に映画化したものですが、けっこう地球の将来を暗示したものかもしれません。

人を愛するプログラムをインプットされた少年型ロボットが、母親に愛されたい一心で真の人間になろうと旅を続けます。現実の社会でもペット型ロボットが存在しているだけに、意志をもったロボットの登場も可能性としてゼロとは言い切れないのではないでしょうか。

もともとは故スタンリー・キューブリックが温めていた企画だとか。キューブリックの遺志を継ぐ形でスピルバーグがメガホンをとったのですが、スピルバーグ作品となればファミリーを意識したつくりになるのも仕方のないところ。それはそれでいいとしても、キューブリック版も観てみたかったなあと思います。

でも、キューブリックがつくっていたら、もっともっと哲学的な内容になっていた可能性が大。少年が主役でわけわからなかったら、興行的には大惨敗、反対に内容的には評論家が大絶賛となっていたような気がします。

アメリカではイマイチながら、結果的に日本では大ヒットしたのでスピルバーグで正解だったのでしょう。それでもやっぱり、長い目でみればリメイクなりなんなりで、両方観たかったですね。

愛情を渇望するこどもの話って、けっこうツボなのかもってあらためて気づかされましたね。ラストはマジで泣きそうになっちゃいました。「パンズ・ラビリンス」にも通じる残酷なおとぎ話。ラストはアレで、いいと思う。悲しいハッピーエンド、で。人の思いはしょっちゅう変わるけれど、ロボットだから作為的に変更されなければ変わらない。そのぶん、信用できるってことなんでしょうか。

そしてなにより、ほぼ出ずっぱりのハーレイ・ジョエル・オスメントが難しい役どころを難なく(?)こなしています。後年、飲酒運転や麻薬保持で捕まっちゃったけど。若くして大成功した俳優にとって青年期は文字通りの過渡期なんですね。ドリュー・バリモアのような大復活を期待しましょう。

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「理由なき反抗」(1955)

理由なき反抗には理由があるけど、なんだか緩い。

理由なき反抗 特別版 いまからもう50年以上も前の作品です。ジェームス・ディーンの遺作であり、名作としてカテゴライズされていますが、名作なのかはどうにも疑問。

時代背景が異なるため単純に比較はできないとしても、不良少年による反抗がなんだか緩いんですよね。

不良グループと付き合うナタリー・ウッドはそんな風には見えないし、どちらかというと優等生タイプに感じられます。

反抗の理由はいつの時代でも変わらない。それでも、反抗の仕方は時代によって変化しているように思います。50年代って、ああだったのかな?

作品そのものとは関係ありませんが、ところどころで字幕のミスがありました。他言語で話されるシーンならともかく、字幕が出るべきところでノー字幕だったり、おかしな翻訳があったり、誤字脱字もいくつかあったような気がします。たとえば「ジャケット」が「ジャケッ」だったり。CSで放送されたものを録画して鑑賞したのですが、こういうことがあると観る気がうせてしまいますね。ちょっともったいなかった…。

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「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」(1990)

脇役陣の配役が楽しい

I_love_you_to_death ピザ屋を経営するイタリア人の夫とユーゴスラビア人の妻。店も繁盛してこどももかわいい。一見幸せそうに見えるけれど、夫のケビン・クラインがとんでもない浮気性。夫は妻のトレイシー・ウルマンも愛しているし悪気はないのだけれど、浮気現場を目撃した妻は大ショック、母親のジョーン・ブローライトと共謀して、夫の殺害を画策します。

実際にあったという話をコメディとして描いたのがこの作品。コメディとして成立しているのは、夫のケビン・クラインがなにをやっても死なないから。毒を盛られても拳銃で撃たれても、夫は事実を知らずに命拾いを続けます。妻と母のドタバタぶりと夫のオトボケが、いい感じなのです。

さらに家族を取り巻く出演陣が何気に豪華。ピザ屋で働き殺人に巻き込まれる青年にリバー・フェニックス。殺人を依頼される殺し屋がウィリアム・ハートとキアヌ・リーブス。ウィリアム・ハートがすごくいい味を出しているし、キアヌの怪演は唖然とさせられます。ミョーな髪型のキアヌですが、彼のファンにはどう映ったんでしょうか?

また、ケビン・クラインの浮気相手が美女ぞろいなうえに、とんでもないオールスターなんですね。ヘザー・グラハム、シェリル・リー、そしてフィービー・ケイツって、あり得ないだろ、羨ましすぎるぞ! あのおっさんのどこがそんなにもてるのか? ちなみに、監督のローレンス・カスダンまで弁護士役でこっそり出演しています。

撮影中の出演者たちが楽しみまくり。そんな雰囲気が伝わってくる作品です。

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「ディア・ハンター」(1978)

耳に焼きつく「カヴァティーナ」の旋律

ディア・ハンター 「タクシー・ドライバー」と並んで、生涯ベストワン候補の一本です(どっちもロバート・デ・ニーロだ)!

街をあげて催されているような狩猟仲間のド派手な結婚式。彼らの日常が1時間あまり延々と描かれているからこそ、戦地でのシーンがより際立ちます。

戦地への切り替えが突然で、インパクト大。日常から非日常へ、容赦ない非情な切り替えに胸が痛みます。

ベトナム戦争のシーンは40分あまりですが、こちらも衝撃的。前半の結婚式と中盤の戦争シーンが、相乗効果でインパクトを大きくしているのです。

後半は、故郷に戻ってきたロバート・デ・ニーロを中心にしたストーリー。戦地に趣いた3人のその後の境遇が明らかになります。

そして最後は、ベトナムに残ったクリストファー・ウォーケンの奪回劇。ロシアンルーレットのシーンで、デ・ニーロとウォーケンが映画史上に残る名演技を披露します。

ラストシーンで胸が熱くなることは必至。劇場公開時以来、ずっと「カヴァティーナ」のメロディーが耳に焼き付いています。これはある意味でもうトラウマですね。

「カヴァティーナ」を聴きたくて、すぐにサントラを買ったのをおぼえています。当時はビデオもなく、お気に入りの映画はサントラを買うしかなかったんです。今では信じられないけど、音楽を聴きながら映像を思い出すというやり方です。

演出、撮影、編集、音楽、そして演技。すべてにおいて傑作!

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「ウォーク・トゥ・リメンバー」(2002)

”ストレート”ウォーク・トゥ・リメンバー

ウォーク・トゥ・リメンバー メチャメチャストレートで寄り道ナシの純愛モノ。ワルさばかりしていた高校生の男子が、マジメな優等生の女子と恋に落ちる。ところがその女子は、病に冒されていて余命わずかであることを告白される。それでも彼は必至で彼女を愛そうとします。しだいに彼女も彼の愛を受け入れるようになり…。

こうなるんだろうなと思わせるところをそのとおりにもっていく展開ながら、これがけっこういいんですよね。たまにはこういう映画も観ないといけません、というような清涼剤のような作品です。

ただし、配役に若干の難ありか? シェーン・ウェストはワルに見えないし、マンディ・ムーアもダサい女子高生役には無理があったような。いつも同じ服を着ているのは確かにダサさの象徴だけれど、そこだけだもんなぁ。でも、ここはマンディ・ムーアで正解だったと病床のシーンで納得。リンジー・ローハンだったら、こうはいかなかった。ついでに、ピーター・コヨーテも牧師さんには見えません。

それでも、ここまで純愛を貫かれたらかえってスッキリ。ピュアな気持ちになりたいときに、オススメです。

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「ビューティフル・マインド」(2001)

タイトルが幻覚?

ビューティフル・マインド アカデミー作品賞や助演女優賞、監督賞などを受賞した「ビューティフル・マインド」。いかにも賞狙いですよ、といわんばかりのタイトルで、私の鑑賞リストからは除去されてしまいました。そのうえ、アカデミー賞での作品賞受賞作とくれば、私のなかではかえって対象外になる確率が高いのです。

最初は学者たちによる難しい数式のお話かと思いきや、暗号解読の特技からスパイ活動をはじめるラッセル・クロウというサスペンスめいたストーリーに転換。そして、統合失調症による闘病生活における夫婦の苦悩を描く人間ドラマに変わっていく。

いやあ、ビックリしました。ラッセル・クロウを取り囲む人物の何人かが”幻覚”だったとは。「シックス・センス」のラストより、こっちのほうがショッキングでしたよ。いままでの人生で、あの人が幻覚だったとしたらどうしよう。そう考えると怖いですよね。

病気が発覚してからの後半は、ラッセル・クロウと妻を演じるジェニファー・コネリーが文字通りの好演。エド・ハリスやクリストファー・プラマーもよかったです。

いままで敬遠していたことに後悔しきり。「ビューティフル・マインド」なるタイトルにこちらが幻覚を見ていたのか、先入観が先走っていたんですね。

やっぱり映画とは観てみなければわからないもの。他人がいいといってもガッカリする作品もあれば、その反対もある。それにしても、「ビューティフル・マインド」はあざとすぎるぞ。ほかにいいアイデアはなかったのでしょうか? ものすごく損をしているとしか思えません。

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「ウォーター・ホース」

私にもあります、ネス湖伝説…

The_water_horse ネス湖に棲むといわれるネッシーと少年の交流を描いたファンタジー映画。どっかで観たことあるような題材だなと思ったら、発想は「E.T.」にソックリ。地球外生命体をモンスターに置き換えただけかもしれないけれど、素直にいいなと思える作品に仕上がっています。

数年前にトリックと発表されたあの有名な写真のエピソードも挿入されていますが、そちらは添え物程度。模型のネッシーを浮かべている横をホンモノのネッシーが通り過ぎるというニンマリシーンはあくまでもサービスエピソードで、本流は少年との交流です。

現代の観光地化したインヴァネスを訪れた男女(恋人同士?)に話しかけるひとりの老人。その老人が語り始めたネス湖の伝説。物語は第2次大戦時の回想録としてスタートします。

ベタというか、ものすごくストレートに作った作品ですね。ネス湖が最初に映ったシーンで、これネス湖じゃないじゃん、と突っ込んだり(大半はニュージーランドでロケ)、こんなに多くの人たちが目撃してて(軍が一斉砲撃など)、いるいないの論議もないだろうなど、矛盾点を挙げるのは野暮というもの。ここは素直に童心に返って観るべきなのでしょう。クライマックスはかなりの迫力です。

10年以上前、ネス湖にいったことがあるのですが、残念ながらというか当然というか、ネッシーは目撃できず。それでも、湖面から突き出た”二重の虹”という予想だにしない光景を目撃しました。2本の虹が並び立つ光景に、こんな出方もあるんだなあと、別の意味で感激。それが私にとってのネス湖伝説です。

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「フローズン・タイム」

フリーズした時間のなかで、絵、写真、映画がいったりきたり。

Cashback 短編でアカデミー賞を受賞した作品の長編化とのこと。監督は英国のファッション・フォトグラファーであるショーン・エリス。それだけに、絵画として、写真として切り取っておきたいような場面の連続です。

ひとつの場面で静と動の対比がなされる撮影が見事。ストーリーとしてはべつに目新しいものではないのですが、全編を通じて新鮮さが維持されています。絵、写真、映画がひとつの時間内にまとまったような感覚をおぼえました。

18分の短編を100分にするのってかなり無理があるんじゃないかと気になっていましたが、まったく飽きのこない意外なおもしろさ。実際、時間を引き延ばしてるよなって思わせてしまうシーンもありました。そんな場面でもしっかりと画面の美しさで魅せているから、それほど無理やり感はありませんでしたね。

映画的にも、主人公が思いを寄せるシャロンがだんだん魅力的になっていくという過程もしっかり表現されてたように思います。最初は、なんでベンはこんなオンナを好きになっていくんだろうと疑問を感じましたが、ラストではものすごく魅力的に映っているんです。

ロンドンを舞台にしたローカル色も、住んだことがある人ならおもわずニンマリ。けっこう、オススメです。

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「K-19」(2002)

派手なアクションより重苦しいテンション

K-19 「Uボート」をはじめ、潜水艦が舞台の映画には傑作が多い。逃げ場のない密室で繰り広げられるドラマがよりいっそう緊張感を煽る。そこが要因かもしれません。閉塞感をいかにして表現できるか、さらには動きの少ないぶん、役者の演技も重要な成功へのカギとなってきます。結果、この「K-19」も、見応えのある作品に仕上がっていました。

1961年、実際にソ連の原子力潜水艦が起こした事故がベースになっているとか。ソ連(当時)のストーリーとはいえアメリカ映画で、しかも主演がハリソン・フォードです。派手なアクション映画を期待されても無理はありません。が、そこは従来の傑作潜水艦モノを踏襲しており、狭っ苦しい内部でドラマが進行。終始、重苦しい雰囲気が漂います。

ありがちなハリソン・フォードを期待していたら、きっと肩透かしを食うでしょう。こちらではむしろ、副艦長役のリーアム・ニーソンとの上下関係や対立、そこから芽生える信頼関係がポイントになってきます。”静”のハリソン・フォードに重きが置かれているわけです。

下手をすれば第3次世界大戦の引き金にもなりかねなかった事故から彼らはどう生還したのか。共産主義の崩壊とともに、彼らの体験が語られるようになった現代。老いた彼らの再会シーンには、グッとくるものがありました。

ロシア人の話なのに全編英語という矛盾も確かにあります。ただ、これがロシア語だったら、ミニシアター系の作品で終わっていたはず。興行的には失敗したそうですが、重苦しい内容はシネコンではなくてミニシアター向き。それをハリソン・フォード&リーアム・ニーソンで小品に終わらせてはもったいない。会話は英語オンリーながら、ロシア語は計器の表示だけ(たぶん)という最小限にとどまっています。米軍へリが出てきたときはどうなることかと思いましたが、接触はなく、会話を交わす矛盾は回避されていました。これなら、全編英語でも問題なし。

なにを期待するかで評価が正反対になりそうですが、自分としてはけっこう好きな作品でした。

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「ぜんぶ、フィデルのせい」

ぜんぶフィデルのせいだけど、フィデルのおかげで成長できた女の子

La_faute_a_fidel 9歳のアンナはカトリック系の小学校に通うお嬢様。両親と弟の家族と暮らし、さらに家政婦も雇っている家庭だから、かなり裕福なほうだと思われます。

ところが、ある日突然に両親が共産主義に目覚め、彼女の生活が一変します。電気の節約なんか序の口で、食事のメニューがクオリティーダウン。家族旅行もなくなり、ミッキーマウスも取り上げられる。学校では大好きだった宗教学の授業をただひとり受けられなくなってしまう理不尽な仕打ち。小さなアパートに引越すと、いつも怪しげなおじさんたちが彼女には意味のわからない政治用語で話しこんでいる。彼女のイライラは募るばかり。

いったいなんでこんなことになっちゃったんだろう? その答えは、キューバ人家政婦の一言から導き出されます。「ぜんぶ、フィデルのせいなのね!」。フィデルとは、キューバのフィデル・カストロをさしています。この瞬間から、アンナの半カストロ政策がはじまる…わけではなくて、大人たちへの小さな抵抗がはじまります。

確かにおもしろい題材なんだけど、なんだか伝わりにくいなという印象をもってしまいました。舞台は1970年のパリ。キューバ、チリ、スペインの体制も絡んできて、当時の世界情勢を知らないとわかりづらい可能性大。

共産主義に目覚めた父親がヒゲ面で帰ってきたとき、こどもたちは唖然とするのですが、その後、外見はふつうに戻っている。どうせなら、ヒゲ面を貫いてほしかったですね。こんなこともあって、どこか中途半端な感じが最後まで拭えませんでした。

結局、アンナにとって諸悪の根源であるフィデル・カストロはニュース映像や写真でさえ紹介されません。アンナは”まだ見ぬ敵”への怒りを胸に抵抗を試みるのですが、徐々に両親の心変わりとなった原因がわかるようになってきます。

全編を通じて少女目線で描いていたためか、数シーンで大人の顔が切れてしまうところがありました。が、ラストシーンではじめてアンナをとりまく人々を含め、上からの映像にチェンジします。少女の小さな成長物語ながら、彼女を取り巻く状況は恐ろしく複雑。そんななかで、アンナは一歩踏み出す勇気をこの経験から得ることになります。”ぜんぶ、フィデルのせいだけど、これは、フィデルのおかげなの”。

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「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

歌をオブラートにした血みどろホラー

Sweeney_todd_j_depp ジョニー・デップ&ティム・バートンが6度目の顔合わせ。ブロードウェイミュージカルの映画化ではありますが、よくよく考えれば悪趣味で怨念渦巻く血みどろスプラッターホラーです。このコンビ、ここまできたら行けるところまでとことん行ってもらいたいと思います。

ところで、あのメイクのジョニー・デップに彼のファンは満足するんでしょうか。さらには、血しぶき飛びまくりのスプラッターのため、ホラー嫌いのファンには厳しい選択を迫られるのでは? 内容を知らずに観にいって、気分を悪くしたジョニデ・マニアもいるかもしれません。

それくらい、血しぶきが飛びます、ノドが掻っ切られます。色調を落としたダークな映像が、よりいっそう血の赤を鮮明に浮かび上がらせます。

といっても、ところどころにユーモアをちりばめており、バートン独特の映像美で全編目を覆うばかり、とはなりません。ある意味で美しく、バートンカラーはここでも健在です。

ただ、今回はミュージカルのキャラクターをそのまま使っていることもあってバートンらしいキャラクターは出てきませんでした。描かれているのはすべて人間。そのぶん、人間が考えることの恐ろしさが巧みに表現されているようでしたね。そのたたみかけがクライマックス。元ネタ(舞台)を知っていたら驚かないのかもしれないけれど、私はこうきたか!と唸らされました。

ミュージカルの映画化、ということばかりが表面に出ていますが、実は「スウィーニー・トッド」ははじめての映像化ではありません。何度か映画化されており、数年前にもそのまんま「スウィーニー・トッド」で公開されているのです。こちらはジョニー・デップが演じていた復讐に燃える理髪師よりも、人肉パイのほうが前面に出ていたようです。トッドを演じたのは「ガンジー」のアカデミー賞俳優ベン・キングスレー! しかしこちらはゲテモノ映画として処理されていた模様。

新作の公開では、どこにもその事実が触れられていないようです。そういえばあったなあと、人肉パイが並んだチラシを思い出しましたが、忘れてほしい過去なのか。存在を消された(?)ベン・キングスレー版こそ、ホントウの都市伝説かも!?

Sweeneytodd

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「テラビシアにかける橋」

ファンタジーモノとしては小品だけれど、観て損はナシ

Bridge_to_terabithia 完全にネタバレです。

数日前までまったく観る気のなかった「テラビシアにかける橋」。最初は、お子様向けのファンタジーかなとふんでいたんですが、どうやらそうでもないらしい。それを知ったら、なんだか急に観たくなってしまいました。

そのとおり、客層限定の作品ではありませんでしたね。むしろ、大人がキュンとなる題材。自分も、小学生のころ近所に作った秘密基地をテラビシア王国に照らし合わせてしまいましたから。それが転校後だっただけに、よけいこの作品とリンクして見えたのかも。

なんといっても転校生の女の子、レスリーを演じるアナソフィア・ロブが超キュートです。 こんな娘がいたら、絶対クラスの人気者だよなあ。

ところが、転校前はともだちのいない子供だったとだったという設定。ウ~ン、かなり無理があるなあ。あの明るさ、積極性、活発な性格は転向しただけで変えられるもんじゃないでしょ。せめてファッションだけでも心境の変化とともに洗練されていく過程がほしい。転校初日からファッションで目立ってたもんなあ。徒競走では男の子を負かしちゃうし。

クラスメートのジェスと仲よくなったレスリーは、近所の森で「学校よりも楽しいところを作っちゃおうよ」と、2人だけで空想の国、テラビシアを創りあげます。ここではトンボが兵士になるし、大木が巨人に見立てられる。さらには、カギを見つける作業が大冒険と化してしまいます。子供のころ持っていたはずのポジティブさや想像力の喪失を観ている大人たちは気づかされるわけです。

しかしながら夢の時間は長続きせず、一瞬で現実に戻されてしまう。レスリーがテラビシアの”入口”で事故にあい、亡くなってしまうのです。ここから先、レスリーはまったく出てきません。レスリーの存在感が強烈だったためか、泣きどころのシーンもなんとなくトーンダウン。ファンタジーなのだから、想像の中でジェスはレスリーに再会するのかな、と予想していたのですが、現実は厳しい。レスリーの姿は完璧に消えてしまいます。

総体的に、ファンタジーモノとしてはかなり控えめの作りになっていました。そこが必ずしもお子様向けではない要因かも。実際、日本では学校の休みにあわせた公開ではないし、この手の作品としてはめずらしく字幕版オンリー(たぶん)。お子様向けと思われているから、あまりヒットしていないのか。ちょっともったいない気がいたします。

レスリー役のアナソフィア・ロブは「チャーリーとチョコレート工場」にも出ていたし、今後注目の女優になるのは間違いないでしょう。彼女のキュートさが仇になった部分もありますが、ファンタジーシーンに期待をもちすぎなければ、観て損はないと思います。

ラストは賛否分かれそう。二人だけの王国を他人にも開放しちゃうんですからね。でも、ジェスは妹にも空想の楽しさを教えてあげるため、テラビシアへ連れて行ったのだと解釈しました。王国を閉鎖するよりも、そちらのほうをレスリーは喜んでくれるはずだから…。

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